大火に類焼した八百屋久兵衛の娘お七は、避難先の寺小姓、吉三郎と恋仲になってしまう。店の再建なって別れた後も思いはつのるばかりです。一方、吉三郎は紛失の剣のために今宵限りの命となり、こっそりお七に暇を告げに来ます。下女のお杉が吉三郎を縁の下に忍ばせると、上の座敷では店の借金のため萬屋武兵衛に嫁いでくれるよう、お七の両親が娘を説得しています。
吉三郎が立ち去った後、残された書置で恋人の危急を知ったお七は、その命を助ける
ために吉三郎が必要としている天国の剣を武兵衛のもとから盗み出そうと決意します。
江戸の町では九つの鐘を合図に木戸が閉められ、以後の通行は禁じられています。それではたとえ剣が手に入っても吉三郎に渡すことができないと思ったお七は、火刑を覚悟で火事でもないのに火の見櫓の半鐘を打って木戸を開かせた。そのすきにお杉が天国の剣を盗み出して、吉三郎のもとへ届けるのでした。
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