□  川 柳
  川柳も俳句も五・七・五で詠みますが、俳句は花鳥風月を詠み、川柳は人間すなわちその中に人の心を詠み、人間を表すことが必要です。人情や人生の弱点を、滑稽にあるいは機知にとんだ風刺で表現することは、大阪人の気風にあっているのでしょう。
 番傘は、その前身である関西川柳社が大阪で明治42年に創立され、大正2年に番傘創刊号が出版されました。現在全国に約90の支部を有する、正に川柳の総本山です。
 熟塾では2回に渡って、番傘の編集長 田頭良子さんに川柳の楽しさを教えていただきました。




道頓堀川遊覧・夕涼み川柳船
■ 開催日 1998年7月4日(土)
■ 講師 番傘川柳本社・田頭良子編集長
■ 概要
 梅雨明け間近の夕刻に木津川に向かい遊覧船に乗り込み、お弁当をいただきながら、田頭編集長指導のもと五・七・五の十七文字の短詩である川柳に挑戦。大阪ドームを右手に道頓堀川へ入り込み、いつもは橋の上から見る景色を、船の上から見上げる。見慣れているグリコや雪印の看板が妙に懐かしい。船乗込みする歌舞伎俳優の気分になりつつ、時間ギリギリまで皆頭を悩ませ、「一斉に 橋を拝んで くぐる橋」「好きやねん 揺れるネオンと 夕焼けと」など秀作が作り出された。



575の言葉に思いをのせて川柳で遊ぼう会
■ 開催日 1999年3月11日(土)
■ 講師 元番傘川柳本社 編集長 田頭良子さん
■ 概要
 川柳の形は、その道にはいりやすく、始めるとなかなか奥の深いものであると、サトウハチローが、友人の川柳作家のために作った詩を紹介していただきました。

  五・七・五でよむ
  悲しをよむ
  さびしさをよむ
  母の声をよむ
  友だちの姿をよむ
  待ちどうしいおやつをよむ
  はらぺこをよむ
  ふくれるしもやけをよむ
  風にひりつくあかぎれをよむ
  ありのままをよむ
  五・七・五でよむ
  人の心の中には糸がある
  何かにふれると
  美しく鳴りひびく糸がある
  五・七・五とならべたことばが
  この糸にふれると
  待ってましたと鳴りひびく
  わたしたち日本人の心の糸は
  五・七・五にすこぶる敏感
  ただちに大きくうなずき
  たちまち高くなりひびき
  それが拍手となってあらわれる
  五・七・五
  五・七・五
  川柳は俳句とともに
  世界で一番短い詩の形
  わたしたちだけが
  すぐにとびこめる詩の形
  わたしたちは
  これを大切に持ち続けよう

  五・七・五でよむ
  やりきれなさをよむ
  けんかしたあとの
  あじけなさをよむ
  遠いお遣いをよむ
  春を待つ芽をよむ
  鉢のこのうまさをよむ
  ものすごい足のしびれをよむ
  つづけてとび出す
  しゃっくりをよむ
  思いのままよむ
  五・七・五でよむ

    「川柳 その作り方・味わい方」より
     番傘川柳本社編 創元社


    何となく川柳をつかんだところで、虫食いの川柳の穴埋め問題が出されました。

 @ ○○○○が家族の数を知っている   …ご飯のお供
 A 昼寝からさめて○○○を遊ばせる   …きょろきょろ
 B ○という文字へ浮き出す妻の顔    …よく似た字
 C ○○○○の名刺が人に会いたがり   …部長、課長etc…
 D 強がりを言うても匂う○○○○○   …ノーヒント
 E 雨はいや○○は嬉しいランドセル   …漢字だと1字
 F わたくしの○を○だと5人ほど    …二つとも同じ漢字

 「答え」 @たくわん  Aめだま  B毒  Cえいてん  Dサロンパス  Eゆき  F友  



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