□  大阪の郷土野菜

都市化や食習慣の変化の中で幻となってしまったなにわの郷土野菜を食べたい。 すでに毛馬キュウリや天王寺蕪、勝間なんきんの種は復活しています。
 毛馬キュウリの特徴はイボが白色ではなく黒いこと。又天王寺カブラは通常のカブラの根部と比べて、直径約10センチ程度と小ぶりで平たい形をしているが香りと味は逸品。
 「名物や蕪の中の天王寺」とうたった与謝蕪村の名はこの蕪の有名な村に暮らしたことに因みます。このカブラには面白いエピソードが多く、信州名物の野沢菜のルーツでもあります。天王寺に植えれば根部が大きく育ってカブラとなり、信州の地では茎を食す菜となるのです。つまり原種に近いこれらの野菜は植えた土地の影響を受けやすいということです。勝間なんきんは形は小さいが肉が締まって味がよいところから、そうした女の人を指していう言葉としても用いられたようです。
 京野菜は少々高くつくが美味しい食材として現在も商品価値も高く出まわっているのに、なぜ大阪野菜は幻の野菜となってしまったのか。それは全国みな同じ種を使うように国から指導があって日本全国画一化されてしまった時、京都の知事は革新派だったのでそれに従わなかったからだそうです。トップの判断の大切さを痛感。

秋山夏虫画


□  なにわの郷土野菜

 大阪府立農林技術センターが昭和61年に実施した遺伝資源調査では、府内で栽培されている野菜は20種類、51品種。大阪市内では毛馬キュウリ、天王寺カブラ、勝間ナンキン、田辺ダイコンが有名だったが、昭和10年代ではほとんど栽培されなくなった。
 センターによると、

  @害虫に弱いこと。
  A大阪市内の都市化
  B季節限定栽培から、年中栽培できる野菜の栽培
  C食習慣の変化による漬物消費量減少

 などのために作付面積が減少したり栽培されなくなった品種が多いという。  現在、大阪の郷土野菜は堺市や千早赤阪村、河南町などで栽培されている。


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