田辺大根をいただいて
料理長が料理人としてその技を惜しげもなく田辺大根に注ぎ、お姫様に使える従者のように手数を惜しまず豪華絢爛なる十二単衣で包み器に盛り、目で舌で楽しませていただいた。
四季の移ろいと共に生きた日本人の心のひだを写しとった日本料理の数々に感動しきりだった。料理人という職人さんの思いにも感激した。
豊かな食文化を持った日本人に生まれ、大阪の地元の野菜・田辺大根を通しこのような情緒豊かな料理を味わえたのはとても幸せなことだと感じることもできた。
コンビニばかりで餌のように食事する子供たちにも、日本料理に託されてきた本物の日本人の心の豊かさを味わってもらえれば、これは贅沢なことではないかもしれないと 思い、食育という意味からも大切ではないかと思った。本物はきっと年齢や男女・国境に関わらず言葉が分からずとも誰にも通じ、日本料理という文化を通して、世界の人々の心に潤いを与えることができるだろうと思った。しかし、世界の前に先ず日本人が培ってきた文化の豊かさの価値を認識しないとと思うことしきりだし、自戒の念も込めて仕事と熟塾というの二足の草鞋を履いての修行を続けているのかもしれない。
今回の企画でも、沢山の人々のお力を借りて本物の日本人の心、大阪人の心を田辺大根の料理を通して深く味わうことが出来たことに感謝したい。 (原田彰子 ) |